従業員エンゲージメントとは?高めるメリットや指標・向上施策を解説
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優秀な社員の予期せぬ離職が続いており、組織の生産性低下に悩んでいる経営者や人事担当者の方も多いのではないでしょうか。この記事では、離職防止や業績向上に役立つ「従業員エンゲージメント」の基礎知識から具体的な向上施策までを解説します。
最後までお読みいただくと、自社でエンゲージメントを高めるためのアクションが分かり、組織の課題解決に向けた具体的な検討が始められるようになります。結論として、従業員エンゲージメントを高めるには、企業理念の浸透と双方向のコミュニケーションの活性化が重要です。
その理由として、従業員が会社の方向性に共感し、安心感を抱くことで自発的な貢献意欲が生まれるからです。従業員一人ひとりが前向きに働ける組織を作るために、まずは現状の課題を把握し、できる施策から始めていくことが大切となります。
従業員エンゲージメントとは?基礎知識を解説
経営課題として注目される従業員エンゲージメントですが、似た言葉と混同されやすい概念でもあります。本章では基本的な意味から関連用語との違いまでを順に整理し、全体像を掴むための基礎知識をわかりやすくお伝えしていきます。
| 比較する用語 | 意味と特徴 | 焦点が当たっている対象 |
| 従業員エンゲージメント | 企業と従業員の双方向の 信頼関係や自発的な貢献意欲 | 組織と個人のつながり |
| 従業員満足度 | 職場環境や待遇に対する 居心地の良さや満足感 | 個人の感情や欲求 |
| モチベーション | 仕事に対する個人の やる気や動機づけ | 個人の内面的な意欲 |
| ワークエンゲージメント | 仕事そのものに対する ポジティブな心理状態 | 仕事に対する活力 |
支援実績1,600社超の組織開発コンサルタントであり、上場企業の事業成長を牽引してきた弊社代表・深石が、
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従業員エンゲージメントの定義
従業員エンゲージメントとは、企業と従業員の間にある信頼関係を示す言葉です。従業員が組織のビジョンや方向性に深く共感し、自発的に貢献したいと思う前向きな意欲を指しています。単に会社に長く在籍している状態ではなく、能動的に仕事を遂行する姿勢が重視されます。
日々の業務において、やらされていると感じるのではなく、自分の意思で行動できているかがポイントとなります。会社と個人の目指す方向性が一致しているほど、この意欲は高まりやすいと考えられます。お互いが支え合う関係性を築くことが、組織の持続的な成長につながるのではないでしょうか。
従業員満足度やモチベーションとの違い
従業員満足度は、給与や福利厚生、人間関係といった環境に対する居心地の良さを表す指標です。これはあくまで個人が受け取る条件に対する評価であり、自発的な貢献意欲とは結びつかないケースがあります。待遇が良くても、会社の目標に向けて努力しようという気持ちが生まれるとは限らないからです。
一方でモチベーションは、個人の内面から湧き上がるやる気や動機づけのことです。仕事に対する熱意はあっても、その方向性が会社の目標と一致しているかは別の問題となります。従業員エンゲージメントは、個人の意欲が組織の成長に向けられているという点で、これらとは明確に異なっています。
ワークエンゲージメントとの違い
ワークエンゲージメントは、仕事そのものに対して没頭し、活力を得ている状態を意味する概念です。厚生労働省の資料では、仕事にやりがいを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得ている状態として定義されています。
この状態は、目の前の業務に対する個人のポジティブな心理を指しています。それに対して従業員エンゲージメントは、業務だけでなく組織全体への愛着や帰属意識を含む、より広い範囲のつながりを示していると言えるでしょう。両者は似ていますが、焦点を当てる対象が仕事か組織かという違いがあります。
なぜ従業員エンゲージメントが注目されているのか?
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近年、多くの企業が従業員エンゲージメントへの関心を急速に高めています。その背景には、社会構造や働き手の意識の変化、さらには国際的な調査データに表れた実態など、複数の要因が複雑に絡み合っている点が挙げられます。
| 注目される背景要因 | 組織に与える具体的な影響 |
| 労働人口の減少 | 採用難による人財確保の ハードル上昇と定着率の重視 |
| 働き方の多様化 | テレワーク普及による コミュニケーション不足と帰属意識の低下 |
| 働き手の価値観変化 | 待遇だけでなく仕事の意義や 自己成長を求める傾向の強まり |
深刻な人手不足と人財流出の防止
少子高齢化による労働人口の減少により、優秀な人財の確保が年々難しくなっています。そのため、新たに人を採用するだけでなく、今いる社員に長く定着してもらう必要性が高まっていると言えます。終身雇用の考え方が薄れ、転職が一般的になったことも背景にあります。
会社への愛着や信頼感が低い状態では、より良い条件の企業へ人財が流出する恐れがあります。エンゲージメントが高い状態を作ることは、結果として人財流出を抑える効果が期待できます。貴重な人財を引き留めるための経営課題として、多くの企業が取り組みを始めていると考えられます。
働き方の多様化とテレワークの普及
テレワークの普及などにより、社員同士が直接顔を合わせる機会が大きく減っています。雑談や気軽な相談といったコミュニケーションの減少は、組織への帰属意識を薄れさせる要因になりかねません。一人で業務を進める時間が増えるほど、会社とのつながりを感じにくくなるからです。
物理的な距離が離れていても、心理的なつながりを強化する仕組みづくりがこれまで以上に求められます。新しい働き方に適応するためにも、エンゲージメントの向上が急務となっています。
従業員エンゲージメントを高める4つのメリット
従業員エンゲージメントを高める取り組みは、人事領域だけでなく経営全般に幅広い効果をもたらします。具体的にどのような恩恵が得られるのか、組織と事業の両面から期待できる4つの代表的なメリットを順番にご紹介します。
| 得られるメリット | 組織や事業への具体的な効果 |
| 離職率の低下 | 採用活動や人財育成にかかる 時間とコストの削減 |
| 労働生産性の向上 | 業務効率の改善と 業績アップへの直接的な貢献 |
| 顧客満足度の向上 | サービスの質向上によるリピーターの 増加とブランド価値向上 |
| イノベーション創出 | 新規事業のアイデア提案や 業務改善の活発化 |
離職率の低下と定着率の向上
組織への愛着や信頼が強まれば、他の企業へ転職しようとする意欲は自然と低下します。自分の仕事が正当に評価され、働きがいを感じられる環境は、長く働き続けたいという思いを育てるからです。社員が定着することで、組織内に知識やノウハウが蓄積されやすくなります。
欠員補充のための採用活動には、多大な時間と費用がかかってしまいます。離職を防ぐことは、採用コストや新しい人財の育成コストの削減につながると考えられるでしょう。安定した組織基盤を作るうえで、定着率の向上は非常に大きな価値を持ちます。
労働生産性と業績の向上
前向きな気持ちで業務に当たる社員が多いほど、組織全体の生産性は自然と高まります。指示されたことだけをこなすのではなく、自ら課題を見つけて解決しようとする姿勢が生まれるからです。チーム内での協力体制も強化され、業務のスピードや質が向上すると言えます。
一人ひとりのパフォーマンスが高まることは、結果として企業の売上や利益にもつながりやすくなります。エンゲージメントの高さは、業績の向上にも良い影響を与える重要な要素となります。組織全体の活力が、ビジネスの成功を力強く後押ししてくれるのではないでしょうか。
顧客満足度(CS)の向上
従業員が自社のサービスや製品に誇りを持っていると、顧客に対するサービスの質も向上します。自社の魅力を心から信じている社員の言葉は、顧客に安心感や信頼感を与えやすくなるからです。丁寧な対応や熱意ある接客は、顧客の心をしっかりと掴む起点となります。
顧客の喜びを自分のことのように感じられる社員が増えれば、さらに良いサービスを提供しようとする意欲が湧きます。これにより、顧客満足度の向上とエンゲージメントの向上が互いに良い影響を与え合う好循環が生まれると言えます。企業のファンを増やすためにも、社内の意識改革は重要だと考えられます。
自発的なイノベーションの創出
会社をより良くしたいという思いを持つ社員は、新しいアイデアを積極的に提案する傾向にあります。現状に満足せず、より良い方法を模索する探究心が強くなるからです。失敗を恐れずに挑戦できる風土があれば、画期的なイノベーションが生まれやすくなります。
従業員の自由な発想や意見が尊重される環境は、新しい事業やサービスの種を育てる土壌となります。激しい市場の変化を生き抜くために、自発的なアイデアは企業の持続的な成長を支える原動力となるでしょう。未来を切り拓く力は、社員一人ひとりの意欲から生まれると考えられます。
従業員エンゲージメントを測るための代表的な指標
施策の効果を正しく判断するには、エンゲージメントを客観的な数値として把握することが欠かせません。ここでは、世界中の企業で実際に活用されている代表的な2つの測定手法について、それぞれの違いを交えながら解説していきます。
| 測定指標の名称 | 調査の特徴 | 測定から得られる主な目的 |
| eNPS | 「自社を親しい人に勧めたいか」を 0〜10点で評価する手法 | 組織に対する愛着や推奨度を シンプルに数値化する |
| ギャラップ社Q12 | 12の具体的な質問に対して 回答してもらう手法 | 現場の課題や従業員の 期待値を詳細に把握する |
eNPS(Employee Net Promoter Score)を用いた測定
eNPSは、自社を働き口として親しい知人や友人にどれくらい勧めたいかを数値化する指標です。0から10の11段階で評価してもらい、推奨者の割合から批判者の割合を引いてスコアを算出します。
一般的には9〜10点をつけた人を推奨者、7〜8点を中立者、0〜6点を批判者として区分します。例えば従業員100名のうち推奨者が20名、批判者が50名であれば、20%から50%を引いてマイナス30がスコアとなります。マイナスの値が出ることも珍しくないため、絶対値よりも前回からの変化を追うことが重要です。
たった一つのシンプルな質問を軸にするため、回答する社員の負担が少ないことが特徴と言えます。定期的に測定を繰り返すことで、組織の状態の変化をいち早く察知できるようになります。
ギャラップ社のQ12を用いた測定
米国のギャラップ社が開発したQ12(キュートゥエルブ)は、12の質問でエンゲージメントを測る手法です。仕事に対する期待が明確か、適切な評価や承認を受けているか、成長の機会があるかといった具体的な項目について回答を求めます。それぞれの質問が、従業員の心理的な欲求に結びついているのが特徴です。
この手法を用いることで、組織のどの部分に課題が潜んでいるのかを詳細に分析することが可能となります。たとえば、上司からの承認が不足しているのか、仕事の裁量権がないのかといった原因が浮き彫りになります。改善に向けた具体的なアクションを計画するうえで、非常に役立つ指標と考えられます。
従業員エンゲージメントを向上させる具体的な施策
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エンゲージメントを高めるためには、複数の角度からアプローチを組み合わせることが効果的です。本章では、明日から自社で検討を始められる代表的な取り組みを取り上げ、それぞれの実践ポイントを具体的に解説していきます。
| 施策の方向性 | 具体的なアプローチ内容 | 期待される組織の変化 |
| 理念・ビジョンの浸透 | 社長メッセージの 発信や社内報の活用 | 業務の社会的意義を感じ、 誇りを持って働けるようになる |
| コミュニケーションの活性化 | 定期的な1on1ミーティングや 社内イベントの実施 | 気軽に相談できる関係性が 構築され、心理的安全性が高まる |
| 評価制度の構築 | プロセス評価の導入や 透明性のあるフィードバック | 頑張りが正当に認められることで、 自発的な挑戦が増える |
| 多様な働き方の支援 | テレワークや フレックスタイム制の導入 | ライフステージに合わせた柔軟な 働き方が可能になり安心感が生まれる |
| 指標化と目標への組み込み | サーベイスコアを部門の 評価項目として設定する | 施策が一過性で終わらず、 継続的な改善サイクルが回る |
企業理念やビジョンの浸透
会社が目指す方向性や社会的な意義を、社員に分かりやすく伝えることが重要です。自分たちの仕事が社会にどう役立っているかを感じられると、誇りを持って働けるようになります。日々の業務に追われていると、どうしても目の前の作業だけに関心が向きがちになってしまうからです。
定期的なメッセージの発信や、理念を体現した行動を称賛する仕組みが効果的と言えます。経営陣が自らの言葉でビジョンを語る機会を増やすことも、共感を生む起点となります。組織全体で同一の目標に向かって進む一体感が、エンゲージメントを力強く押し上げてくれるでしょう。
浸透の施策は、日常業務に埋め込むほど定着しやすくなります。具体的には次のような形が考えられます。
| 施策 | 具体的な実施例 |
| 表彰の仕組み | 四半期ごとに、行動指針を 最も体現した社員を全社会議で表彰する |
| 日常への埋め込み | 朝礼で行動指針を1つ取り上げ、 担当者が自分の業務に当てはめて話す |
| 採用・評価との接続 | 採用面接の質問と評価シートの 定性項目を、行動指針の言葉で統一する |
| 経営からの発信 | 月1回、社長がその月の意思決定の 背景を社内向けに文章で共有する |
額縁に入れて掲示するだけでは浸透しません。評価や採用といった、社員の処遇に直結する仕組みの中で同じ言葉が使われて初めて、理念は行動の判断基準として機能し始めます。
社内コミュニケーションの活性化
上司と部下、または部署間のコミュニケーションを意図的に増やす仕組み作りが求められます。定期的な1on1ミーティングを導入し、業務の悩みやキャリアについて話し合う機会を設ける企業も増えています。仕事の進捗確認だけでなく、個人の感情や考えに寄り添う対話が大切となります。
気軽に相談できる関係性が築かれると、組織への安心感や信頼感が育まれると考えられます。社内イベントやオンラインでの雑談会など、部署の垣根を越えた交流の場を設けることも有効です。風通しの良い環境作りが、社員の帰属意識を高める基盤となります。
1on1が業務報告の場になってしまう企業は少なくありません。あらかじめ問いを用意しておくと、対話の質が安定します。
| テーマ | 質問例 |
| 現状の確認 | 今、一番時間を取られ ている業務は何ですか |
| 障害の把握 | 進めるうえで引っかかって いることはありますか |
| 承認 | この1か月でうまくいったと 感じたことを教えてください |
| 成長 | 今後、どのような業務に 挑戦してみたいですか |
| 会社への要望 | 会社や私に対して、変えて ほしいことはありますか |
最後の設問を毎回入れておくと、サーベイを待たずに現場の課題が上がってくるようになります。上がった要望は、対応の可否にかかわらず次回に必ず返答することが信頼につながります。
公平で納得感のある評価制度の構築
自分の頑張りが正当に評価される環境は、社員の意欲を高める大きな要因となります。評価の基準を明確にし、結果だけでなくそこに至るまでのプロセスも適切に評価する仕組みが大切です。不透明な評価は不満を生み、会社への不信感につながってしまう恐れがあります。
フィードバックの際には、改善点だけでなく良かった点もしっかりと伝えることが求められます。上司からの適切な承認は、社員に自分の存在価値を実感させる強力なメッセージとなります。納得感のある評価を通じて、次の目標に向けて挑戦する意欲を引き出すことができるでしょう。
あわせて意識したいのが、評価する側である役職者のばらつきです。役職ごとに求める人財要件を言語化しておかないと、同じ会社の中でも上司によって求められる基準が変わり、部下の納得感が損なわれます。各役職に求める要件は、会社から社員へのメッセージそのものだと捉えて整備してみてください。
多様な働き方の支援と環境整備
社員のライフステージに合わせた働き方を選択できる制度も、エンゲージメント向上に役立ちます。リモートワークやフレックスタイム制の導入など、柔軟な働き方を支援する企業が増加しています。育児や介護と仕事を両立しやすい環境は、優秀な人財の定着につながりやすいと考えられるからです。
会社が個人の生活を尊重し、働きやすい環境を提供することは、社員に対する信頼の証となります。その結果として、社員からも会社に対する感謝や貢献意欲が自然と生み出される起点となります。健康面やメンタルケアのサポートも含め、安心して働ける環境を整えることが重要と考えられます。
エンゲージメントを評価項目として指標化する
施策が一過性で終わってしまう最大の原因は、エンゲージメント向上が誰の目標にもなっていないことです。取り組みを継続させたいのであれば、管理部門や各部署の評価項目として組み込むという方法があります。
設計の順番は、最終ゴールであるKGIから逆算し、達成に必要な要素であるKSFを分解し、それを測定可能な数値であるKPIへ変換するという流れです。
| 段階 | 管理部門での設定例 |
| KGI(最終ゴール) | 働きがいのある環境整備 |
| KSF(必要な要素) | 従業員エンゲージメントの強化(相互成長の 関係性強化、規律・風土・環境の改善) |
| KPI(スモールゴール) | 組織サーベイ65点以上/社内サーベイスコア平均8pt以上 |
このように数値目標として設定しておくと、サーベイの実施が目的化することを防げます。調査して終わりではなく、スコアを改善するための行動までが評価の対象になるためです。
従業員エンゲージメント向上に成功した企業事例
理論を理解しても、実際の進め方をイメージしづらいと感じる方は少なくありません。ここでは業種や規模の異なる2社の取り組みを取り上げ、自社で施策を検討する際のヒントとなる成功のポイントを紐解いていきます。
オギハラ食品株式会社|行動規範の明文化と面談の定着で組織が自走を始めた事例
オギハラ
福岡で高菜漬の製造を手がけるオギハラ食品株式会社では、優秀なスタッフの離職を起点に人事評価制度の導入を決意しました。それまで給与は勤続年数や勤務態度など感覚で決めており、「給料が決まるプロセスが見えない」という声が上がっていたといいます。
OGSコンサルティングの自走化トレーニングを通じて行動規範を明文化し、社長自らがそれを体現する姿勢を示したことで、挨拶などの行動が変わり始めました。評価シートをもとにした上司と部下の面談も定着し、目標が明確になったことで社内の雰囲気も改善しています。
【関連記事】オギハラ食品株式会社 – OGSコンサルティング株式会社
改めてご紹介いたしますが、支援実績1,600社超の組織開発コンサルタントであり、上場企業の事業成長を牽引してきた弊社代表・深石が、
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従業員エンゲージメントに着手する際の注意点
良かれと思って始めた施策が、進め方を誤ると逆に組織への不信感を生んでしまうケースもあります。失敗を防ぎ着実に成果へつなげるために、取り組みを始める前に押さえておきたい大切な2つの視点をご紹介します。
| 取り組み時の注意点 | 放置することで発生するリスク | 推奨される具体的な対策 |
| 調査結果を 放置しない | 社員の期待を裏切り、かえって不信感や エンゲージメント低下を招く | 調査後にフィードバックを行い、 小さな改善からすぐに実行に移す |
| 短期的な効果を 求めない | 表面的な施策に終始し、根本的な 組織風土の改善につながらない | 経営陣がコミットし、数年単位の 長期的な視点で粘り強く事に当たる |
調査結果を放置せず改善アクションにつなげる
エンゲージメントを測るためのアンケートやサーベイを実施して、満足してしまうケースが少なくありません。数値を把握することはスタート地点に過ぎず、結果を分析して組織の課題に対する具体的な改善策を実行することが必須です。声を上げたのに何も変わらない状況は、社員の落胆を招いてしまいます。
アクションを起こさなければ、会社に対する期待を裏切ることになり、かえって逆効果となる恐れがあります。予算や時間の都合ですぐに解決できない問題であっても、検討状況を正直に共有する姿勢が求められます。誠実な対応を続けることが、組織の信頼関係を深める第一歩となると考えられます。
短期的な効果を求めず中長期的な視点を持つ
エンゲージメントの向上は、一朝一夕で成し遂げられるような簡単なものではありません。組織の風土や社員の意識を根本から変えるには、継続的な取り組みが求められます。数ヶ月で劇的な変化を期待してしまうと、施策がうまくいかないと早々に諦めてしまう原因になります。
すぐに結果が出なくても焦らずに、小さな成功体験を積み重ねながら進めることが重要と言えるでしょう。経営層が強い意志を持って、数年単位の計画として腰を据えて事に当たる姿勢が必要です。長期的な視点で組織作りを進めることが、最終的に強固な企業文化を育むことにつながります。
まとめ:従業員エンゲージメント向上は中長期的な組織づくりから
この記事の要点をまとめます。
・従業員エンゲージメントは企業と従業員が同一の方向を向く信頼関係である
・向上させることで優秀な人財の定着や企業の業績向上といった恩恵が得られる
・企業理念の丁寧な共有や社内コミュニケーションの活性化が有効な施策となる
・サーベイスコアをKPIとして評価項目に組み込むと、施策が一過性で終わらない
・アンケート等の調査結果は放置せず必ず改善アクションへつなげることが大切である
従業員一人ひとりが働きがいを感じられる環境を整え、持続的に成長できる組織づくりに少しずつ取り組んでいきましょう。
従業員エンゲージメントに関するよくある質問
最後に、従業員エンゲージメントについてよく寄せられる質問について回答します。
Q1.サーベイはどのくらいの頻度で実施すべきですか?
詳細な設問で組織の状態を診断する調査は年1〜2回、簡易な設問で変化を追うパルスサーベイは月次から四半期ごとに実施する組み合わせが一般的です。頻度を上げるほど回答負荷が増えるため、改善アクションを実行できる体制と合わせて設計することをおすすめします。
Q2.スコアが低い結果が出た場合、社員に公開すべきですか?
公開することをおすすめします。回答した社員にとって、結果が共有されないことは「声を上げても何も変わらない」というメッセージになりかねないためです。公開の際は、数値だけでなく「この課題に対してこう取り組む」という方針をセットで示すと、前向きな受け止めにつながります。
Q3.給与を上げればエンゲージメントは高まりますか?
一時的な満足度は高まりますが、貢献意欲に直結するとは限りません。給与や福利厚生は従業員満足度に関わる要素であり、組織への共感や自発的な貢献意欲とは別の軸だからです。処遇の改善と並行して、評価の納得感や理念への共感を高める取り組みが必要になります。
Q4.エンゲージメント向上は誰が主導すべきですか?
人事部門が事務局を担い、経営層がコミットする体制が基本です。ただし、日々のエンゲージメントに最も影響するのは直属の上司との関係であるため、現場のマネージャーを巻き込むことが欠かせません。部門ごとのスコアを部門責任者の目標に組み込むと、当事者意識が生まれやすくなります。
Q5.中小企業でも取り組む意味はありますか?
あります。むしろ人数が少ない企業ほど、一人の離職が組織に与える影響が大きいためです。大がかりなサーベイツールを導入しなくても、簡易な設問での定期的な確認と、1on1での丁寧な対話から始めることができます。小さく始めて改善を回すほうが、定着しやすい傾向があります。








